記事一覧

尼崎市公共調達基本条例が施行される

尼崎市公共調達基本条例が施行される

尼崎市は2016年9月市議会に「公共調達基本条例」を提案し、市議会で可決成立しました。公共調達基本条例という名前になじみがないと思いますが、公契約条例という名称で条例が制定されている自治体が多数です。

武庫川ユニオンにとって「公契約条例」の制定運動には長い歴史があります。出発は、2002年にアメリカの運動に学び「リビングウェイジ条例」を求めたことに始まります。全国的に公共事業の民営化が急速に進んでいました。私たち武庫川ユニオンには、結成後から自治体からの業務委託労働者や自治体非正規労働者の声が寄せられていました。公務員労働者とのあまりもの格差に待遇改善の要求運動を進めていました。そんな中で、2007年の市役所の住民票入力業務の競争入札問題から派遣労働者がストライキを闘うという運動や、弥生ケ丘斎場の競争入札問題などで委託労働者や派遣労働者の事態について、社会に訴え闘った経過がありました。

そうした状況の中で2007年3月に「リグングウェイジ条例の制定をめざす会」を地域の仲間と一緒に結成し、条例制定運動を加速しました。その後2008年に「公契約条例の制定をめざす議員の会」が結成されました。議員のみなさんと労働組合や委託業者も加わり学習会を重ねました。そして、全国で初めての公契約条例をめざし2008年12月に尼崎市議会に議員提案として上程されました。

しかし残念ながら、2009年5月の市議会で僅差で否決されました。しかしその後、千葉県の野田市をはじめ、公契約条例が各自治体で制定されていきました。現在では30近い自治体で内容に差はありますが条例制定が進んでいます。

稲村市長は二期目の選挙の公約に公契約条例の制定を掲げ、2016年9月市議会で「公共調達基本条例」として成立しました。しかし、最大の問題点は賃金条項を入れることができなかったことです。条例の制定は出発点であり、今後、実効あるものにしていくことが私たちの課題です。委託労働者自らが声を上げることが求められています。

  尼崎市の説明する条例の基本方針は次の通りです。

1、市内業者の受注機会等の増大

2、社会的課題の解決に資する取組の推進(注:障碍者雇用率、環境対策など)

3、公共調達に関わる業務に従事する労働者の適正な労働環境の確保(注:賃金水準の規定はない、法令遵守など)

4、公共調達に関わる業務の適正な履行及びその質の確保(注:適正な予定価格・最低制限価格、

    雇用の継続など)

2017年7月から「労働関係法令の遵守状況の報告」が義務づけられます。

(下請け業者を含む) 条例は次の通りです。 



尼崎市公共調達基本条例

目次

 第1章 総則(第1条-第5条)

第2章 市内事業者の受注機会等の増大(第6条-第8条)

第3章 社会的課題の解決に資する取組の推進(第9条)

第4章 公共調達に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境の確保(第10条-第20条)

第5章 公共調達に係る業務の適正な履行及びその質の確保(第21条-第25条)

第6章 雑則(第26条)

 付則


   第1章 総則

(この条例の目的)

第1条 この条例は、公共調達に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定め、市長等及び受注者等の責務を明らかにするとともに、公共調達に関する基本的な事項を定めることにより、これらに基づく公共調達に関する取組を推進し、もって地域経済の持続的な発展及び市民福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

⑴ 公共調達 次に掲げる行為をいう。

  ア 市が締結する契約で工事若しくは製造の請負、業務の委託又は物品の購入に係るもの(以下「請負等契約」という。)により、完成した物件の引渡し、役務の提供、物品の納品等を受けること。

  イ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)に市が設置する公の施設(以下「公の施設」という。)の管理の業務(以下「指定管理業務」という。)を行わせること。

⑵ 市長等 市長(尼崎市教育委員会が、その管理する公の施設についてその指定管理者の指定(地方自治法第244条の2第3項の規定による公の施設に係る指定管理者の指定をいう。以下「指定処分」という。)を受けるべき者を選定し、及び指定処分を行う場合にあっては、尼崎市教育委員会を含む。)及び尼崎市水道事業管理者をいう。

⑶ 受注者等 受注者(請負等契約を締結した事業者及び指定管理業務を行う指定管理者をいう。以下同じ。)及び下請負者等をいう。

⑷ 下請負者等 第6号アに掲げる契約により同号アに規定する公共調達に係る業務の一部を請け負い、又は受託する事業者及び同号イに掲げる契約により労働者派遣(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第1号に規定する労働者派遣をいう。)の役務の提供を行う事業者をいう。

⑸ 市内事業者 本市の区域内に主たる事務所を有する事業者をいう。

⑹ 下請等契約 次に掲げる契約をいう。

ア 下請の契約、再委託の契約その他これらに準ずる契約により、受注者その他市以外の事業者が第三者である事業者に対して公共調達に係る業務(請負等契約により当該受注者が履行すべき業務(以下「請負等業務」という。)又は指定管理業務をいう。以下同じ。)の一部を請け負わせ、又は委託することを内容とする契約

イ 労働者派遣法の規定により、自己の雇用する労働者を受注者その他市以外の事業者のために公共調達に係る業務に従事させることを内容とする契約

⑺ 社会的課題の解決に資する取組 災害発生時における協力に関する協定の締結、環境保全のための活動、障害者の雇用その他の社会における各般の課題の解決に資する取組をいう。

(基本方針)

第3条 基本方針は、次のとおりとする。

⑴ 市内事業者が請負等業務及び下請等契約に係る業務(これらの業務に付随する業務を含む。)を受注する機会並びに市内事業者が指定処分を受けるべき者として選定される機会を増大させること。

⑵ 公共調達を通じた社会的課題の解決に資する取組を推進すること。

⑶ 公共調達に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境を確保すること。

⑷ 公共調達に係る業務の適正な履行及びその質を確保すること。

(市長等の責務)

第4条 市長等は、公共調達に係る契約及び選定(指定処分を受けるべき者の選定をいう。)の公正性、競争性及び透明性の確保を図りつつ、基本方針に基づく公共調達に関する取組を総合的に推進しなければならない。

(受注者等の責務)

第5条 受注者等は、公共調達に関係する法令等(市の条例、規則その他の規程を含む。)を遵守するとともに、基本方針に基づく公共調達に関する取組に協力しなければならない。

 

第2章 市内事業者の受注機会等の増大

第6条 市長等は、請負等業務の適正な履行に必要となる専門的な知識又は技術を有する市内事業者が存しない場合その他特別の事情がある場合を除き、市内事業者に対し請負等業務を優先的に発注するよう努めるものとする。

第7条 前条に規定するもののほか、市長等は、経済的合理性に配慮しつつ、市内事業者が請負等業務を受注する機会及び市内事業者が指定処分を受けるべき者として選定される機会を増大させるよう努めるものとする。

第8条 受注者等は、下請等契約及び公共調達に係る業務の履行のために要する原材料の購入等の契約を市内事業者との間で締結するよう努めなければならない。

 

第3章 社会的課題の解決に資する取組の推進

第9条 市長等は、請負等契約の性質又は目的に応じて入札の参加に必要な資格を定める場合において社会的課題の解決に資する取組を行っている事業者を優遇するなど、公共調達を通じた社会的課題の解決に資する取組(市長が別に定めるものに限る。)を推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

    第4章 公共調達に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境の確保

(適正な労働環境の確保)

第10条 市長等及び受注者等は、公共調達に係る業務に従事する労働者の雇用の安定、労働に係る安全その他の適正な労働環境の確保に努めるものとする。

(労働関係法令の遵守状況の報告等)

第11条 受注者(請負等契約のうち規則で定めるもの(以下「対象契約」という。)を締結した事業者及び指定管理業務を行う指定管理者に限る。以下「対象受注者」という。)は、規則で定めるところにより、労働関係法令(労働基準法(昭和22年法律第49号)、最低賃金法(昭和34年法律第137号)その他の労働、雇用又は社会保険に関する法令をいう。以下同じ。)の遵守状況を市長等に報告しなければならない。

2 対象契約に係る下請負者等(当該対象契約が建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する建設工事に係るものである場合は、同条第5項に規定する下請負人に該当する事業者に限る。以下「対象契約下請負者等」という。)及び指定管理業務に係る下請負者等(規則で定めるものに限る。以下「対象指定管理業務下請負者等」という。)は、規則で定めるところにより、労働関係法令の遵守状況を、自己が締結した下請等契約に係る対象受注者に報告しなければならない。

3 対象受注者、対象契約下請負者等及び対象指定管理業務下請負者等(以下「対象受注者等」という。)は、前2項の規定による報告の内容(規則で定める事項に係るものに限る。)に変更があったときは、規則で定めるところにより、その旨を、対象受注者にあっては市長等に、対象契約下請負者等及び対象指定管理業務下請負者等にあっては自己が締結した下請等契約に係る対象受注者に届け出なければならない。

4 対象受注者は、第2項の規定による報告(以下「2項報告」という。)又は前項の規定による届出(対象受注者へのものに限る。以下「3項届出」という。)を受けたときは、規則で定めるところにより、その旨を市長等に報告しなければならない。

(労働関係法令の遵守状況の報告等に関する説明等の要求)

第12条 市長等は、必要があると認めるときは、対象受注者に対し、前条第1項若しくは第4項の規定による報告又は同条第3項の規定による届出(市長等へのものに限る。)の内容について必要な説明又は資料の提出(以下「説明等」という。)を求めることができる。

2 対象受注者は、前項の規定による説明等の要求(前条第4項の規定による報告の内容に係るものに限る。)を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該報告に係る2項報告又は3項届出を行った対象契約下請負者等又は対象指定管理業務下請負者等(以下「対象下請負者等」という。)に対し、当該2項報告又は3項届出の内容について必要な説明等を求めることができる。

3 市長等は、前項の規定により対象受注者が対象下請負者等に説明等を求めることが適当でないと認めるときは、直接当該対象下請負者等に対し、その2項報告又は3項届出の内容について必要な説明等を求めることができる。

(措置内容の報告)

第13条 対象受注者は、第11条第1項の規定による報告又は同条第3項の規定による届出を行う際労働関係法令(当該報告を行う場合は当該報告に係るもの、当該届出を行う場合は当該届出に係るものに限る。)を遵守していないときは、速やかに、当該労働関係法令を遵守するために必要な措置を講じ、規則で定めるところにより、その講じた措置の内容を市長等に報告しなければならない。

2 前項の規定は、対象下請負者等が2項報告又は3項届出を行う際労働関係法令(当該2項報告を行う場合は当該2項報告に係るもの、当該3項届出を行う場合は当該3項届出に係るものに限る。)を遵守していない場合について準用する。

(措置内容の報告に関する説明等の要求)

第14条 第12条第1項の規定は、前条第1項の規定による報告について準用する。

2 第12条第1項の規定は、前条第2項において準用する同条第1項の規定による報告について準用する。この場合において、第12条第1項中「対象受注者」とあるのは、「対象下請負者等」と読み替えるものとする。

(労働関係法令の遵守に係る措置等の要求)

第15条 市長等は、対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令(対象受注者にあっては第11条第1項の規定による報告及び同条第3項の規定による届出(市長等へのものに限る。)に係るもの、対象下請負者等にあっては2項報告及び3項届出に係るものに限る。以下同じ。)を遵守していないと認めるときは、これらの者に対し、相当の期限を定めて、当該労働関係法令を遵守するために必要な措置を講ずるよう求めるとともに、その講じた措置の内容について報告を求めることができる。

(公表等)

第16条 市長等は、次の各号のいずれかに該当するときは、その該当する事実、当該事実に係る対象受注者又は対象下請負者等の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名)その他の規則で定める事項を公表することができる。

⑴ 対象受注者が第11条第1項若しくは第4項又は第13条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

⑵ 対象下請負者等が第11条第2項又は第13条第2項において準用する同条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

⑶ 対象受注者又は対象下請負者等が第11条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

⑷ 対象受注者が、第12条第1項(第14条第1項において準用する場合を含む。)の規定による説明等の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の説明等をしたとき。

⑸ 対象下請負者等が、第12条第3項又は第14条第2項において読み替えて準用する第12条第1項の規定による説明等の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の説明等をしたとき。

⑹ 対象受注者又は対象下請負者等が、前条の規定による報告の要求に対し、これを拒み、又は虚偽の報告をしたとき。

2 市長等は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る対象受注者又は対象下請負者等に当該公表をする旨及びその理由を通知するとともに、これらの者に弁明及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。

(対象下請負者等への明示)

第17条 対象受注者等は、その履行すべき公共調達に係る業務の一部(対象受注者が指定管理者である場合は、当該対象受注者が行う指定管理業務のうち規則で定めるものに限る。)について、他の事業者に請け負わせ、若しくは委託し、又は労働者派遣法第2条第2号に規定する派遣労働者に従事させようとするときは、その相手方に対し、あらかじめ、第11条第2項の規定による報告の義務があることその他市長が別に定める事項を明示しなければならない。

(対象労働者への明示)

第18条 対象受注者等は、その履行すべき公共調達に係る業務に従事する労働者(以下「対象労働者」という。)に対し、その従事する公共調達に係る業務の内容及び当該公共調達に係る業務における労働条件が第11条第1項又は第2項の規定による報告に係るものであることその他市長が別に定める事項を明示しなければならない。

(通報及び相談等)

第19条 対象労働者は、その従事する公共調達に係る業務を履行すべき対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令に違反していると思料するときは、その旨を市長等に通報することができる。

2 対象労働者は、その従事する公共調達に係る業務を履行すべき対象受注者又は対象下請負者等による労働関係法令の違反に係る疑義について市長等に相談することができる。

3 対象受注者等は、対象労働者が第1項の規定による通報又は前項の規定による相談を行ったことを理由として、当該対象労働者に対し解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。

(関係機関への通報)

第20条 市長等は、対象受注者又は対象下請負者等が労働関係法令を遵守していないと思料する場合において、特に必要があると認めるときは、その旨を都道府県労働局長その他の関係機関に通報するものとする。

 

第5章 公共調達に係る業務の適正な履行及びその質の確保

(適正な予定価格等の設定)

第21条 市長等は、公共調達に係る業務の適正な履行及びその質を確保するため、合理的な積算等を基礎として、請負等業務にあっては適正な予定価格(最低制限価格を設定するものにあっては、最低制限価格を含む。)を、指定管理業務にあってはその対価として支払うべき金額の適正な上限額を設定するものとする。

(履行内容の確認)

第22条 市長等は、公共調達に係る業務の適正な履行及びその質を確保するため、適宜その履行の内容を適切に確認するものとする。

(下請等契約の適正化)

第23条 受注者等は、下請等契約を締結するに当たっては、公共調達に係る業務の適正な履行及びその質並びに公共調達に係る業務に従事する労働者の適正な労働環境を確保するため、自己が当該下請等契約の相手方と対等な立場にあることを認識し、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)その他の法令を遵守し、当該下請等契約の内容を適正なものとしなければならない。

(従前従事労働者の雇用)

第24条 受注者等は、その公共調達に係る業務(継続的に実施する必要がある業務として規則で定めるものに限る。以下この条において同じ。)を履行するに当たっては、当該公共調達に係る業務の適正な履行及びその質を確保し、並びに労働者の雇用の安定に配慮するため、従前から当該公共調達に係る業務に従事していた労働者で引き続き当該公共調達に係る業務に従事することを希望するものを雇用するよう努めなければならない。

(不正行為をした事業者等の排除)

第25条 市長等は、談合その他の不正行為をした事業者その他の受注者として適当でないと認められる事業者について、請負等契約に係る入札への参加を制限することその他の公共調達に係る業務の受注者にさせないために必要な措置を講ずるものとする。


第6章 雑則

(委任)

第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。


付 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第4章(第10条を除く。)及び次項の規定は、規則で定める日から施行する。

(経過措置)

2 第4章(第10条を除く。)の規定は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後に行われる公告その他の契約の申込みの誘引に係る対象契約及び同日以後に行われる公告で指定処分の申請に係るものに係る指定処分について適用する。

 

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント