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残業時間の上限規制100時間未満は絶対に認められない

3月13日に安倍首相は連合神津会長と経団連の榊原会長と会談し、「繁忙月の残業時間上限規制を100時間未満」とするとの裁定を出し、連合神津会長と経団連の榊原会長は首相の意向を踏まえて対応を検討すると表明したと報じられた。月100時間の残業は厚生労働省の過労死認定基準であり、上限規制を100時間とすることは、絶対に認めることはできない。3月15日に「真に実効性のある労働時間の上限規制を求める緊急院内集会」が、参議院議員会館内で開催され、250人が参加した。この集会は、日本労働弁護団、過労死弁護団、過労死家族の会が共催した。連合、全労連、全労協、そして森岡孝二過労死防止全国センター共同代表からの発言があり、緊急共同声明を採択した。

緊急共同声明を掲載します。

 

真に実効性のある 労働時間の上限規制を求める 緊急共同声明

2017 3 15

日本労働弁護団

幹事長 一郎 過労死弁護団全国 連絡会議

幹事長 川人

全国過労死を考える家族の会

代表  寺西笑子


1. 本年3 13 、日本経団連と連合が発表した「 時間外労働の上限規制等に関する労使合意」によれば、「 時間外労働の上限規制は、月 45 間、年360時間とする 。ただし 、一時的な業務量の増加がやむを得ない特定の場合の上限については、 ①年間の時間外労働は 月平均 60時間(720)以内とする 。②休日労働を含んで、2ヵ月ないし 6ヵ月平均は80時間以内とする。③休日労働を含んで、単月は100時間を基準値とする 。④月45時間を超える時間外労働は年半分を超えないこととする 。以上を労働基準法に明記し、これらの上限規制は、罰則付きで実効性を担保する。」ものとし、そのほかに、労働者の健康確保措置や勤務間インターバルの検討などが挙っている。この労使合意を受けて、政府は一月の特例としての限度時間を「100時間未満」にすることとしたと報道されている


2.  私たちも、長時間労働を 是正するために労働基準法を改正し 36 定の特別条項でも 超えることができない時間外労働の上限を定め、違反企業に罰則を科すことには賛成である 。しかしながら 、もつとも重要な点は、上限基準をどのように設定するかにあると指摘してきたが、上記労使合意は、「月100時間(未満 )」「 2か月から 6か月平均80時間以内」などという例外となっており 、厚生労働省が定めた『脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準』(平成13 12 12 基発第1063)「過重負荷の有無の判断」に記載されている 時間外労働の時間(1か月間におおむね100間超又は2か月間ないし 6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間超)に相当するものであり 、上限基準として極めて不適切なものであるから 到底賛同できない。このような内容の労働基準法改正では、過労死・過労自死等の労働災害を招くおそれのある基準にお墨付きを与えて、政府自らが容認するに等しいものとなってしまう。これまで、使用者団体は繁忙期などの特定の場合に「月100時間」や 2 か月から6か月平均80時間」 までの時間外労働を認めるよう 要求し続けているが、これは多発する長時間労働による 過労死・過労自死への反省を欠き、上記労災認定基準を遵守し過労死や過労自死を防止すべき義務を負っている使用者としての責任を放棄することを示すものであり、このような使用者団体の態度は厳しく批判されなければならない。月95時間分の時間外労働を義務付ける労使合意は、「 安全配慮義務に違反し、公序良俗に反するおそれさえあるというべきである」とした裁判例 (ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショ ナル事件札幌高裁平24.1019 判決・労判1064)、「月83時間の残業は、36協定で定めることができる労働時間の上限の月45時間の2倍近い長時間であり ・相当な長時間労働を強いる根拠となるものであって、 公序良俗に違反するといわざるを得」ない(穂波事件・岐阜地裁平27.1022判決・労判1127)とした裁判例に照らしても、「 100時間(未満 )」や「 2か月から 6か月平均80以内」の時間外労働を容認することは、裁判所によって公序良俗に違反し無効とされるおそれの強いものであることを再度指摘しておきたい。それとともに、上記内容の労基法改正によって、過労死労災認定基準の長時間労働に対する使用者の安全配慮義務違反の責任が決して免脱されるものではないことを確認すべきである。労働時間はディーセント・ワークの要である。時間外労働は本来例外であるべきとの原則を踏まえるならば、労働者の命と健康を危険に曝すことを許容する時間外労働の上限の例外は断じて認めるべきではない。そもそも、今回の政府主導の労働時間の上限規制の目的は、三度と過労死や過労自死の被害を生まないためであつたはずである。私たちは、政府と労使団体に対し、労働者の命と健康を守り、生活と仕事の調和を図ること ができるような労働時間の上限規制がなされるべきであることを強く訴え、労働基準法の改正案として、時間外労働の例外的な上限時間を労働者の命と健康を害しないように、上記の過労死労災認定基準を大幅に下回る時間とするよう強く申し入れる あわせて、上限時間の法定とともに勤務間インターバルの導入も労基法改正に明記するよう求める 。    

 以上

 

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