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修正しても労働時間規制を撤廃する労働基準法の改悪に反対する

 2017年7月12日朝日新聞の朝刊に「残業代ゼロ」法案修正へ 政府、連合の要請反映との見出しで、今秋の臨時国会に労働基準法の改正案を出し直す方針と報じられた。
 第1次安倍政権当時、ホワイトカラーエグゼンプションとして、事務労働者に対しては労働時間規制を撤廃する動きがあった。しかし「過労死促進法」「残業代ゼロ法」として反対の声が一気に起こり、結局政府は法案の上程を断念していた。ところが、今度は「高度プロフェッショナル制度」という、一定以上の年収のある労働者は労働基準法32条で定められた「週40時間・一日8時間」の労働時間規制を撤廃するというものだ。既に2015年4月に国会に提案されている。しかし、連合をはじめとした労働組合や、民進党・共産党・社民党・自由党などが反対しており、国会では一度も審議されていなかった。これに対し連合が年104日以上の休暇の義務付けなどの修正を求めたという。結果的には受け入れるという表明と見なされないか。
 残業規制を1カ月100時間以内。6カ月平均で80時間以内という上限規制を法制化する動きがでているが、これは過労死水準を合法化するものである。この基準に連合会長と安倍首相の合意がなされたとは驚くべき合意だ。連合は現場労働者の意見に耳を傾け、働く者の立場に立たないと未来がないといえる。
 全国ユニオンの連合への申入れ書面を紹介します。


2017年7月12

労働基準法等改正法案に関する要請書(案)に反対する声明

日本労働組合総連合会

事務局長 逢見直人殿

全国コミュニティユニオン連合会(全国ユニオン)

会長 鈴木 剛

 

 78日、共同通信のインターネットニュースで、現在、国会に提出されたままになっている労働基準法改正案について、連合が政府に修正を申し入れることが報じられました。その後、他の新聞各紙で同様の報道が相次ぎます。

 週が明けて710日、突如として「『連合中央執行委員会懇談会』の開催について」という書面が届き、出席の呼びかけがありました。開催は翌11日で、議題は「労働基準法改正への対応について」です。

 異例ともいえる「懇談会」で提案された内容は、報道どおり労働基準法改正案に盛り込まれている「企画業務型裁量労働制」と「高度プロフェッショナル制度」を容認することを前提にした修正案を要請書にまとめ内閣総理大臣宛に提出するということでした。

 しかし、連合「20182019年度 政策・制度 要求と提言(第75回中央委員会確認/201761日)」では、雇用・労働政策(※長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを実現する。)の項目で「長時間労働につながる高度プロフェッショナル制度の導入や裁量労働制の対象業務の拡大は行わない。」と明言しており、明らかにこれまで議論を進めてきた方針に反するものです。労働政策審議会の建議の際にも明確に反対しました。ところが、逢見事務局長は「これまで指摘してきた問題点を文字にしただけで方針の転換ではない」など説明し、「三役会議や中央委員会での議論は必要ない」と語りました。まさに、詭弁以外何物でもなく、民主的で強固な組織の確立を謳った「連合行動指針」を逸脱した発言と言っても過言ではありません。しかも、その理由は「働き方改革法案として、時間外労働時間の上限規制や同一労働同一賃金と一緒に議論されてしまう」「圧倒的多数の与党によって、労働基準法改正案も現在提案されている内容で成立してしまう」ために、修正の要請が必要であるとのことでした。

 直近の時間外労働時間の上限規制を設ける政労使合意の際も、私たちはマスメディアによって内容を知り、その後、修正不能の状況になってから中央執行委員会などの議論の場に提案されるというありさまでした。その時間外労働時間の上限規制と、すでに提出されている高度プロフェッショナル制度に代表される労働時間規制の除外を創設する労働基準法改正案とを取引するような今回の要請書(案)は、労働政策審議会さえ有名無実化しかねず、加えて、連合内部においては修正内容以前に組織的意思決定の経緯及び手続きが非民主的で極めて問題です。また、政府に依存した要請は、連合の存在感を失わせかねません。

さらに言えば、高度プロフェッショナル制度については、法案提出当初の2015424日には、塩崎厚生労働大臣が経済人の集まる会合の場で「小さく生んで大きく育てる」などと語ったことが報じられています。こうした発言を鑑みても法律が成立してしまえば、労働者派遣法のように対象者が拡大していくことは火を見るよりも明らかです。また、裁量労働制についても、年収要件などがなく対象者が多いだけに問題が大きいと考えます。

私たち全国ユニオンは、日々、長時間労働に苦しむ労働者からの相談を受けており、時には過労死の遺族からの相談もあります。過労死・過労自死が蔓延する社会の中、長時間労働を助長する制度を容認する要請書を内閣総理大臣宛に提出するという行為は、働く者の現場感覚とはあまりにもかい離した行為です。加えて、各地で高度プロフェッショナル制度と企画業務型裁量労働制の反対運動を続けてきた構成組織・単組、地方連合会を始め、長時間労働の是正を呼び掛けてきた組合員に対する裏切り行為であり、断じて認めるわけにはいきません。また、このままでは連合は国民・世論の支持を失ってしまうおそれがあります。

シカゴの血のメーデーを例にとるまでもなく、労働時間規制は先人の血と汗の上に積み上げられてきました。私たち労働組合にかかわる者は、安心して働くことができる社会と職場を後世に伝えていくことが義務であると考えます。今回の政府に対する要請書の提出は、こうした義務を軽視・放棄するものに他なりません。全国ユニオンは、連合の構成組織の一員としても、政府への要請書の提出に強く反対します。

以 上 

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