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働き方改革関連法案の国会提案は見送るべきだ

 私たちは、安倍首相が、働き方改革・同一労働同一賃金・長時間労働是正のための法改正を言い出した時から、うさん臭さやごまかしを指摘し、働く仲間に労働法改悪の危険性を訴えてきました。政府が通常国会に提案しようとしている「働き方改革関連法案」は長時間労働を規制すると言っていますが、内容は正反対の法案です。その一つが、残業協定(36協定)の上限規制です。残業の上限を月100時間未満と規定するといいます。残業時間の野放し状態よりも前進だ、という主張もあります。しかし月100時間という残業時間は、厚生労働省が定めた過労死水準です。この法改正は過労死水準の残業時間を合法化することにつながり、絶対に認めてはなりません。

次に「高度プロフェッショナル制度」です。年収要件1,075万円以上、を満たす労働者が、高度な専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外する、というものです。政府は「小さく生んで大きく育てる。」と公言しています。つまり、いったん高収入の労働者を対象に導入を決めておいて、年収要件を下げていくことをもくろんでいるのは明白です。実際、第1次安倍政権の時にホワイトカラーエグゼンプション制度として、労働時間規制を無くそうとし、猛反発の中で法案提出を断念したときの年収要件は、450万円程度と言われていました。年収要件が1,075万円の高い年収なら労働時間規制はいらない、などと安易に考えていたら、とんでもないことになってしまいます。

現在国会で争点になっているのが、裁量労働制度です。裁量労働制は、実際に働いた労働時間とは関係なく、労使で定めた労働時間だけ働いたとみなす制度です。この裁量労働制が最初に導入されたのは1987年です。変形労働時間制と同時に導入されました。最初の裁量労働制は専門業務型と言われ、研究開発業務、情報処理システムの分析・設計、新聞・出版・放送関係の取材、編集、デザイナー、放送番組などのプロデューサー、その他では弁護士や建築士、税理士など、高度な専門的な業種でした。次に変更されたのが、1998年です。新たに企画業務型といわれる裁量労働制が導入されました。業務が「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析」であり、対象者が「対象業務を適切に遂行するための知識、経験を有する労働者」とされました。しかし極めてあいまいで、事務労働者が広く適用される危険性が指摘され、労使委員会での5分の4の議決とか、対象業務の範囲、対象労働者の範囲、労働時間、対象労働者の健康・福祉の措置などを労使委員会で決議すること、が必要とされました。

つまり、裁量労働制が拡大すると、結果として健康被害が広がる可能性が、当初より危惧されていました。

裁量労働者の方が一般労働者より労働時間が短い?!

通常国会で提案されようとしている法改正では、裁量労働制をさらに拡大し、これまでは認められていなかった法人提案営業などにも裁量労働制を認めるというものです。

安倍首相は、裁量労働の拡大は、労働者にとって利益があるかのような国会答弁をし、合意を得ようしました。労働時間は裁量労働の労働者の方が一般労働者よりも短い、とした厚生労働省の資料があると強弁していました。しかしそれらの資料は不自然な事例が多数あることが判明しています。当初は資料のデーター原本の存在も認めないなど、森友・加計学園の時と同様に、都合の悪い書面は無いなどとの答弁を繰り返していました。

もともと裁量労働時間制は労働者が求めたものではなく、財界の強い要望でした。企画業務型の裁量労働制は労働者にとって不利になる可能性があったからこそ、労使委員会で5分の4の議決が必要、などと定めねばならなかったのです。裁量労働制で労働時間が短くなり労働者に利益がある、などと世迷い事は止めていただきたい。裁量労働制の拡大では、労働者に無制限な労働を強い、過労死の危険が拡大していきます。裁量労働制が労働者にとってプラスになるなどといえる人種は、社会の在り方を理解できない一部の政治家たちだけでしょう。本来は規制強化を求めねばならないはずです。

嘘がばれたら素直に謝罪し、法案を撤回するのが常識だ

法改正の前提条件の一つがデーターの誤りであった以上、いったん、法案の提出をせずに、労働政策審議会などでの議論をやり直すべきではないでしょうか。政府は施行を一年遅らすことでごまかそうとしていますが、それは恥の上塗りです。

冬季オリンピックの喧騒のなかで隠された課題を白日の下に明らかに

昨年の年末は、相撲協会の暴行事件と貴乃花理事問題で政治問題がかき消され、年明けからはオリンピックで国会審議は見えなくされていましたが、やっと終わります。来週からは働き方改革法を止める取り組みを強めましょう。

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