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同じ過ちを繰り返してはいけない(原発事故被災地を視察して)

 39回目の全国地区労交流集会が福島県いわき市小名浜で、2018923日~24日にかけ開催されました。集会の二日目に、フィールドワークとして原発事故被災地を視察しました。視察の感想を記します。(集会の内容については武庫川ユニオン機関紙第311号で報告)

 私は福島第1原発の敷地にも入れるのかと期待していましたが、一部を除いて認められていないそうでした。私たちが視察したのは帰還困難区域と指定された地域でした。集会会場のいわき市小名浜から広野町、楢葉町、富岡町、大熊町の入り口までバスからの視察となりました。

 原発事故により放射能に汚染された地表の除染作業が行なわれ、避難地域の解除が進められました。しかし、居住生活地域の除染作業は進んだと言っても山は放置され、たとえ帰還しても山に登ることはできません。

 津波による災害はテレビや新聞を通して圧倒的に私たちに迫ってきましたが、被災後7年半が経過し、原発事故による帰還困難区域以外は被害の傷跡は見えにくくなっています。また、そもそも放射能被害は私たちの眼には見えません。想像していた除染廃棄物のフレコンバックも私たちが視察した地域では少ししか目につきませんでしたが、県内には2200万個あるそうです。現在、仮設減容化施設で中間処理し、除染土を道路や農地に再利用する計画があるそうです。とんでもないことです。

 田畑は放置すれば柳の木などが生えて、農地として利用することができなくなるようで、農家の人たちは、将来に備えて農地を耕し続けておられるそうです。車窓から見える景色はのどかな田園風景です。しかしそこには人の気配がありません。富岡町の桜の名所、夜ノ森地区も静まり返っていました。福島のみなさんには申しわけないと思いながら、かつて読んだ福永武彦氏の小説「死の島」という題名が浮かんできました。双葉町約7,000人、大熊町約11,000人は全員が避難し、帰れるめどはありません。富岡町は帰還宣言を出していますが、住民13,000人中、帰還率は3.2%ということです。

 一見何の被害もないかのように見える主のいない家々は、イノシシなどの動物たちの住み家となっているそうです。たとえ被爆線量が下がったとしても、元に戻すことは困難だと思いました。

 一日目の集会で講演された、福島原発告訴団の武藤類子さんによると、放射線量のモニタリングポスト3000台中、2400台が撤去されたそうです。被爆地では、線量を確認するのが日常になっていたようですが、ポストの撤去は明かに原発事故をなかったことにしようとするものでしょう。

 また、甲状腺検査ではこれまで、疑いも含め211人の被害が現れています。しかし、これでも県民健康調査検討委員会は、事故前の数十倍の発症は認めながら、放射線の影響は「考えにくい」としているそうで、検査の縮小論もでているそうです。本当に、福島の子どもたちをどこまで踏みにじるのか、と怒りが湧いてきました。

現在、東京電力の刑事責任を問う裁判が行われていますが、検察は2回にわたり不起訴とし、検察審査会において20157月にやっと起訴相当とされ、公判がはじまることになりました。裁判を通して、東京電力の経営陣の罪を明らかにしていかねばなりません。

 

原発のない社会を

9月6日に北海道で震度7の地震が起こり、全道で停電が発生しました。この地震で驚いたのは、休止中であった泊原発の外部電力が喪失したことです。3基の泊原発は非常用発電機で核燃料の冷却ができましたが、発電装置が福島第1原発のように失われていたら、同様の事故が起こっても不思議ではありませんでした。ところが、「泊原発が稼働していたら、ブラックアウト(全道での停電)はなかった」いう人がいました。もし稼働して起こる可能性のある悲惨な事故をなぜ想像できないのか、信じられません。

司法は、政府や電力会社に追随する判断を、また行いました。愛媛県伊方原発の再稼動差し止め訴訟で、昨年の12月、広島高裁は請求差し止めを認めていましたが、今度は、仮処分の取り消しの判断をしました。大分地裁も同様、伊方原発の停止を求める仮処分を退けました。住民は、阿蘇山の爆発による事故の危険性を訴えていましたが、「阿蘇山噴火の可能性は不合理」と決めつけました。もし事故が起これば「想定外」であると言うのでしょうか。

この国はどうかしています。福島原発事故でその恐怖を誰よりも知りました。同じ過ちを繰り返してはいけません。

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